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■私的文学10選


東海道中膝栗毛

東海道中膝栗毛

1802〜1809、十返舎一九(1765〜1831)、

日本文学史上、最高に面白い作品だと、私は思う。その面白さが判らなければ、それは、読み手が悪い。日本国の教育が悪い。

この本を初めて読んだ後、いてもたっても居られなくなり、妻に、”明日から東海道を歩きに行く”と宣言した。次の朝、始発の新幹線で東京へ向かった。日本 橋から西に向かって歩き始めた。一日目で小田原まで、二日目には沼津の自宅まで歩いてやろうと思った。しかし、10km程歩いた品川あたりで、足に豆が出 来はじめた。昼に、ようやく川崎で、吉野家の牛丼を食った。保土ヶ谷の「投げ込み塚」を通ったとき、江戸時代にこれをやっていたら、俺もここでお陀仏だっ ただろうと思った。夜8時ごろ、藤沢で動けなくなり、ビジネスホテルで宿泊した。あくる朝、筋肉痛に歩くこともままならず挫折。東海道線で沼津へ帰った。 妻は呆れて実家へ引き払ったらしく、自宅には誰も居なかった。実家の妻に電話をしたら、「あら、もう帰ってきたの。」と言った。
源氏物語

源氏物語

1008頃、紫式部(973?〜1014?)

1001年の枕草子以降に書かれている。翻訳が必要だが、内容は現代文学の範疇と私は思う。
確立された読み方では面白くない。21世紀にもう一度、新しい面白さを再発見したい作品。

私は与謝野晶子訳が良いと思った。他の現代語訳はちらりと見てやめた。原文でも挑戦したが、読書のスピードが上がらず、あまり面白くない。
千一夜物語

千一夜物語(Le Livre des Mille Nuits et une Nuit)

13世紀〜16世紀に成立?
マルドリュス博士(Dr. J. C. Mardrus)
アントワーヌ・ガラン(Antoine Galland) など。

世界文学史上で最も面白い作品だろう。最高。プルーストも、モームも認めている。

人間喜劇

人間喜劇(La Comedie Humaine)

1842刊行開始、バルザック(Honore de Balzac)(1799〜1850)

ここに「人間喜劇」を挙げることは、つまり、1973年頃、東京創元社から刊行されたバルザック全集を全部読めと言っていることに等しい。他に人間喜劇を 読む 方法が無い。古書相場は26巻揃で5万円程度。近くの図書館で借りられるならば、その方が良いかもしれない。
「人間喜劇」中から作品を選べと言うのなら、私はあえて、”カトリーヌ・ド・メディシス”、”風流滑稽譚”の2つを挙げよう。カトリーヌ・ド・メディシス を読んでいた時のこと。続きが早く読みたくて、残業をサボって、会社から急いで自宅に帰った。明け方まで読み続け、翌日、会社に遅刻した。

-> バルザック『人間喜劇』のこと
失われた時を求めて

失われた時を求めて(A la recherche du temps perdu)

1913〜1927、マルセル・プルースト(Marcel Proust)(1871〜1922)

文学史上の価値などどうでも良い。僕自身にとって恋愛とは何なのかと問う。
デカメロン

デカメロン(Decameron)

1348〜1355、ボッカッチョ(Giovanni Boccaccio)(1313〜1375)

15世紀のルネッサンスに先んじて、人間主義(ヒューマニズム)の潮流を作り出した作品だ。

ドンキホーテ

ドン・キホーテ(El Ingenioso Hidalgo Don Quijote De La Mancha)

1605、セルバンテス(Miguel de Cervantes Saavedra)(1547〜1616)

饒舌であることは名作の条件だ。
原稿用紙の升目を埋めるため、セルバンテスの話は脱線し、ドン・キホーテとは関係ない話が延々と続く。これが面白い。
世界文学100選

世界文学100選(Tellers of Tales)

1938〜1939?、サマセット・モーム(Wiliam Somerset Maugham)(1874〜1965)編

アンソロジーをここに挙げるのは反則なのは重々承知だ。個々の作品ではなく、モームのコンピレーションとして完成された作品だと感じている。1961年に 河出書房新社から出版されている。後に、世界100物語の名でも再版されているようだ。どちらも古書でしか手に入らない。

-> モーム『世界文学100選』のこと
人間の土地

人間の土地(Terre des Hommes)

1939、サン・テグジュペリ(Antoine de Saint-Exupery)(1900〜1944)

堀口大学が訳すということが、元の作品の価値を超えて、堀口大学の作品として読んでしまう作品も多い。ここでは、サン・テグジュペリと、堀口大学が衝突 し、拮抗し、美しい訳文が編み出されている。
ちょっとピンぼけ

ちょっとピンぼけ(Slightly out of Focus)

1947?、ロバート・キャパ(Robert Capa)(1913〜1954)

大学を卒業して就職し、本を読まなくなっていた頃、ふと立ち寄った町田の図書館でこの本を見つけた。私は人生の困難(Trouble)に立ち向かう力を得 た。次の日から、再び、人生を生きはじめた。




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