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人間とは何か(What is Life?)
1947、J・B・S・ホールデン(John Burdon Sanderson Haldane)(1892-1964)
過激な発言に満ちたこの本が復刊されることはまずありえないだろう。遺伝学を背景に、平等な人権意識を語り、そして、社会主義への傾倒を強く見せている。
ホールデン教授は、”生命とは何か”と銘打った1章目の最終段にて、「私はこの疑問に答えようとは思わない。」と発言しつつも、彼独特の生命観を印象的に
語っている。
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宗教と科学(Religion And Science)
1949、バートランド・ラッセル(Bertrand Arthur William Russell)(1872-1970)
前半では、近代の宗教と科学の対立の歴史を語り、宗教に抑圧されていた人間が、科学によって解放されたとして、科学が人類に貢献したと結論付ける。
その上で、後半では、科学から発生したファシズムや過激な共産主義が人類を抑圧しているとし、当時のドイツとロシアを糾弾している。
「人間は自然を支配する力を持ちたいと思うが、自然が人間を支配する力を持つことを好まない。」として、人間が自然に対する立場では決定論を信じながら、
自然が人間に対する立場では自由意志を主張するという、我々の詭弁を批判している。
全編を通して、ラッセルは決定論的な立場を貫いていて、精神現象は物理学で説明できる、精神は肉体の死と共に消える、宇宙の進化は無目的である、という立
場で発言している。
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進化とは何か(Evolution In Action)
1953、ジュリアン・ハクスリー(Julian Sorell Huxley)(1887-1975)
物質、生命、精神という3つの層からなる世界像を描き、宇宙全体を一つの生態として考えるようなパラダイムを提案している。ジュリアン・ハックスリー氏の
世界観を、僕らはもう一度見直して、現代の思想に取り込むべきだと思う。
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生命とは何か(What Is Life? The Physical Aspect of the Living Cell)
1942、
エルヴィン・シュレーディンガー(Erwin Schrodinger)(1887〜1961)
人間が分子機械であることを認めた上で、自由意志が成り立つ理論を打ち出している。エピローグには、『私(という人間は)、原子の運動を自然法則にした
がって制御する存在である。』と結論付けている。
理論的な内容は古くなってしまっている部分が多い。
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精神と物質(Mind And Matter)
1958、エルヴィン・シュレーディンガー(Erwin Schrodinger)(1887〜1961)
量子力学が持つ観測上の問題から、生命や意識の働き、その存在について考察が進んでいく。明らかな結論は提示されておらず、読み終わった後消化不良を感じ
るが、現実世界を観測することの本質を垣間見る事ができる。下記の「わが世界観」と、共通の内容を多く持っている。
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わが世界観(Meine Weltansicht)
1961、エルヴィン・シュレーディンガー(Erwin Schrodinger)(1887〜1961)
カントが見出した認識の壁に挑戦した、相対論のアインシュタイン、量子論のシュレーディンガー。シュレーディンガーだけがそれに成功したように思う。
1、自我は存在するのか。
2、私と共に世界は存在するのか。
3、自我は、私の肉体の死によって消滅するのか。
4、世界は、私の死によって消滅するのか。
と問題を提起し、個々の意識と全体を同一と見るウパニシャッド的な世界観を提示してそれに答えている。そしてまた、意識とは、個体発生の適応の過程である
と結論づけた上で、道徳が合理的で、実存するものだと主張する。上記のラッセルの書籍において、神秘主義として批判されている立場に近い。
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